Marketing Design Review

マーケットに
企てを仕掛ける
有機的デザイン手法
の研究

MDR-4

業態開発とマーケティングデザインは両輪

まず、業態とはどういう意味なのでしょう?
ここでは業態を、【顧客ニーズを基点に事業が構築された状態】と定義してみます。

すると、これまで時代変化に応じて開発された、さまざまな業態型の小売業・サービス業が成立している要素が見えてきます。

それらは、全て「顧客ニーズ」に対して、いかに満足させるかという「革新」を続けており、さらに「顧客ニーズ自体は急速に変化している」ということを認識しています。ある大手量販店トップは「小売業=変化対応業」であると繰り返し言っていますが、「顧客ニーズの変化に自らを変えていくのが小売業だ」ということを暗に小売経営の基本として認識しているということです。

そんな中、業績悪化が見られる業態もあり、その原因は全て「顧客ニーズの変化が読めない。対応しきれていない。」というところに起因するとしているようです。したがって、中小小売商業者が業態化を目指す場合、「顧客ニーズ自体」を十分に知覚・認識しない限りその方向性や手法は開発できないと認識する必要があります。整理しますと、業態戦略とは「小売業の経営戦略の根幹をなす基本戦略」と位置付けることができ、「業態戦略=顧客ニーズに基づく小売業の経営戦略」と言い換えることができそうです。

小売・サービス業が業態開発を行おうとした場合、大きく分けて2つの方向性が考えられます。ひとつには「既存事業を見直し、新たな取り組みを展開する方向」と、もうひとつは「既存事業自体をあまり意識せず、まったく新たに新業態を開発していく方向」です。

前者においては、現状の事業の延長線上に活路を求めるという「改善型業態開発」であり、後者は全ての発想をゼロに戻し「革新的業態開発」にチャレンジする方向といえます。

 「改善型業態開発」は、比較的リスクが軽減されますが、段階的に「トライ・アンド・エラー」でやっていく必要があり、効果が見えにくいことが多々あります。一方「革新的業態開発」は、うまくターゲットのニーズにはまった場合「ブレイク」することもありますが、まったく受け入れられないこともあります。また、投資も多く必要になり「ハイリスク・ハイリターン型」となります。

いずれの手法を選択するのかは、業態開発に取り組もうとする中小企業の考え方や状況および姿勢にもよりますので一概には判断できませんが、激動する流通環境を考えた場合急変する需要に対し、「中途半端な改善」ではほとんど効果が出ないという現実もあります。それほど「消費者ニーズ」は変化が激しいといえます。

業態開発のプロセスは、およそ4つのステップを踏みます。まず、どのような業態を開発しようとするかを「着想する段階」、続いて業態の基本形をラフ・スケッチする「設計の段階」、そして、具体的に動かせる形にする「開発の段階」を経て、業態のアウトラインを作っていきます。

その後、開発された「業態」がターゲットとする消費者のニーズに合致するのかを、「テストマーケティング」という位置付けで市場に投入し、その反応を見ることで改善し、実施モデルを確立することになります。

決して、思っているイメージを形に変えようと、あせっていきなり開発段階に入ってはいけません。ターゲットおよびそのニーズは、あくまで仮説です。売り手側が思い込みを先行させて開発していくと、顧客ニーズからかけ離れた「売り手の論理」がベースになることがあります。

つまり、「業態=顧客ニーズを基点に事業が構築された状態」と定義された場合、基点となる顧客ニーズがないがしろにされる可能性もあるということです。これは要注意事項でしょう。

◆業態開発のプロセス
◇着想段階=新規開発の場合⇒市場調査⇒開発基本方針策定
既存事業の転換の場合⇒現状認識⇒転換基本方針策定

◇設計段階=コンセプト組立⇒プロトタイプ設定
◇開発段階=ビジネスシステム構築⇒収益プラン策定⇒プロトタイプ確定
◇テストマーケティング=アクションプラン策定⇒テストマーケティング実施
⇒ファーマット改善⇒事業拡大へ

業態開発は、単独の事業体を活性化させるという考え方だけではなく、いったん顧客に受け入れられ、顧客満足を高められるノウハウとして仕組みが蓄積された場合、大きく事業拡大する可能性もあります。

そこには、「業態を開発していく」ことは、マーケティングの観点から「事業をデザインしていく」という両輪にたとえられる理念の共用性が潜んでいるのです。

フッターイメージ